文化の基本:知っておくと安心なこと
日本の飲食店を体験する前に、台湾の習慣とは少し違う文化的なポイントを学びましょう。日本の「おもてなし」は、客のニーズを先読みする体系的なサービスです。一方、台湾の「熱情」は、より温かくパーソナルな関係を重視します。この違いを知ることで、日本のサービスをより深く理解できます。
お通し (Otōshi) システム
居酒屋などで席に着くと、注文していない小鉢が出てくることがあります。これは「お通し」と呼ばれ、多くの場合、席料(テーブルチャージ)を兼ねた有料のものです。台湾の無料の「小菜」とは違うので注意しましょう。
お水 (Omizu) のサービス
ほとんどの飲食店で、氷入りの冷たい水が無料で提供されます。常温水や白湯を好む台湾の習慣とは対照的です。もし温かいお茶などが欲しければ、別途注文する必要があります。
チップ (Tip) の習慣
日本ではチップを渡す習慣は一切ありません。素晴らしいサービスへの感謝は、会計時に「ごちそうさまでした」と笑顔で伝えるのが最も良い方法です。
完食のマナー
出された料理は全て食べきることが、料理人や生産者への感謝を示す礼儀とされています。食べきれないほどの量で満腹を示す台湾の習慣とは異なる点です。
支払い方法
カジュアルなレストランでは、テーブルで渡された伝票を持って、入口近くのレジで支払うのが一般的です。テーブル会計は高級店に限られることが多いです。
麺類と音
ラーメンやそばなどの麺類を「ズズッ」と音を立ててすすることは、美味しさを表現する方法として許容されています。他の食事で音を立てるのはマナー違反です。
シーン別会話
ここでは、実際の会話の流れを台本形式で確認できます。文化的なポイントも合わせて解説します。
シナリオ1:カジュアルなカフェ ☕
店員: いらっしゃいませ。ご注文をどうぞ。
あなた: Mサイズのホットラテを一つお願いします。
店員: ホットラテ、Mサイズ、おひとつですね。
店員が注文を繰り返すのは、間違いがないかを確認するための日本のサービスにおける重要な習慣です。
店員: 店内でお召し上がりですか、お持ち帰りですか?
あなた: 店内で。
店員: お会計、500円でございます。
「〜でございます」は「です」の非常に丁寧な言い方です。店員がよく使います。
店員: お支払方法はいかがなさいますか?
あなた: カードでお願いします。
店員: では、あちらのカウンターでお待ちください。
日本のチェーン系カフェでは、注文・会計後、自分で席を探し、食後は返却口に食器を戻すのが一般的です。
シナリオ2:レストラン・居酒屋 🍜
案内係: いらっしゃいませ!何名様ですか?
あなた: 2人です。
案内係: かしこまりました。お席へご案内します。こちらへどうぞ。
店員さんを呼びたい時は、テーブルのボタンを押すか、静かに手を挙げて「すみません」と言いましょう。
あなた: (手を挙げる)すみません。
ホールスタッフ: はい、ご注文はお決まりですか?
あなた: 生ビールを2つと、唐揚げをください。
ホールスタッフ: ご注文を繰り返します。生ビールが2点、鶏の唐揚げが1点。以上でよろしいでしょうか?
「よろしかったでしょうか?」という過去形の聞き方は間違いとされています。正しくは現在形の「よろしいでしょうか?」です。
あなた: はい、お願いします。
ホールスタッフ: かしこまりました。少々お待ちください。
ホールスタッフ: お待たせいたしました。こちら、お通しです。
これは席料を兼ねた有料の小鉢です。断ることは通常できません。
あなた: お会計、お願いします。
ホールスタッフ: はい、伝票をお持ちしました。
伝票を受け取ったら、それを持って入口近くのレジへ向かいましょう。
レジ係: (レジで)ありがとうございます。合計で3,500円でございます。
あなた: カードでお願いします。
レジ係: かしこまりました。ありがとうございました。またお越しくださいませ。
応用リクエスト:特別な状況への対応
基本的な会話に慣れたら、次は少し複雑なリクエストに挑戦しましょう。電話での予約や、食事に関する特別な希望の伝え方を学びます。
📞 電話での予約
電話での予約は音声だけが頼りなので、はっきりと話すことが大切です。
店員: お電話ありがとうございます。レストラン「さくら」でございます。
あなた: 予約をお願いしたいのですが。
店員: ありがとうございます。ご希望の日時はお決まりですか?
あなた: 明日の夜7時、2名でお願いします。
店員: 明日の夜7時、2名様ですね。…申し訳ございません、7時は満席でございます。8時でしたらご用意できますが、いかがでしょうか?
あなた: では、8時でお願いします。
店員: かしこまりました。では、お名前とご連絡先をいただけますか?
あなた: 名前は陳です。電話番号は090-1234-5678です。
店員: 復唱いたします。陳様、090-1234-5678。明日の夜8時に2名様でお待ちしております。
🍜 食事の希望と制限の伝達
特定の食材を抜いてほしい時は、「〇〇抜きで (nuki de) お願いします」というフレーズがとても便利です。
- 豚肉抜きでお願いできますか?
- パクチーを抜いてください。
- 子どもがいるので、わさび抜きでお願いします。
座席の希望を伝えることもできます。
- 窓際の席はありますか?
- 個室をお願いします。
⚠️ 最重要:食物アレルギーの伝達
食物アレルギーは命に関わります。口頭だけでなく、書面で伝えるのが最も安全です。このアレルギーカードを印刷したり、スクリーンショットを撮って見せたりすると、コミュニケーションが円滑になります。
【食物アレルギー・コミュニケーションカード】
【食物過敏溝通卡】
店員の方へ (給店員):
私は以下の食品にアレルギーがあります。
我對以下食品過敏。
これらの食材が使われていないメニューを教えてください。
請告訴我哪些餐點沒有使用這些食材。
重要フレーズ集
日本の飲食店で使われる重要なフレーズをまとめました。繰り返し確認して、自然に使えるようになりましょう。
いらっしゃいませ
歓迎の挨拶。客として入店した時に最初に聞く言葉です。
かしこまりました
店員が客の要望を理解し、実行することを伝える丁寧な返事。「OK」の最上級の敬語です。
少々お待ちください
「少し待ってください」の丁寧な言い方。店員がすぐに対応できない時に使います。
お待たせいたしました
料理を運んできた時など、客を待たせた後に使う言葉です。
申し訳ございません
店側がミスをした時の正式な謝罪の言葉です。「すみません」よりも重い意味を持ちます。
恐れ入ります
客に何かをお願いする前に使うクッション言葉。「お手数ですが」に近いニュアンスです。
ありがとうございます
サービスを受けている最中や、会計時に使う現在形の感謝の言葉。
ごちそうさまでした
食事への感謝を表す特別な言葉。会計後、店を出る際に言うととても喜ばれます。